大判例

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東京高等裁判所 昭和38年(う)1275号 判決

被告人 丸山貞雄

〔抄 録〕

一、賭博の常習者とは、賭博を反復累行する習癖あるものをいうのであつて、必らずしも賭博を渡世とする博徒の類のみを指すものではない。前段で引用した各供述調書によると、被告人は、鉄工品の製作を生業とするもので、賭博罪により処罰された前歴を有しないが、原判示第五の(一)ないし(五)における被告人の各賭博行為は、昭和三十七年七月十四日頃から同年八月十二日頃までの間に、自己もしくは他人により五度の機会に開設された関口光一方ほか三個所の賭場において、そのつど他の賭客とともに数時間内に百回前後にわたり行われたものであり、その賭博の種類方法は、花札使用による俗に「アトサキ」又は「バツタマキ」と称するもので、一回の賭金額は千円ないし三万円の多額に上ることが認められる。以上賭博を行つた期間および回数、その賭博の種類方法、賭金額等を総合して考察すると、被告人は、賭博を反復累行する習癖を有するものと認めざるをえない。原判決の証拠説明は全事実につき証拠の標目と一括して羅列する方法によつているので、被告人の常習性を認定した根拠が判文自体により明らかであるとはいえないが、原判決が前掲各供述調書を証拠の標目に加えていることに徴すると、原判決もまた右各証拠に現われている前記各資料によつて右常習性を認定したものと解することができる。論旨は理由がない。

二、賭場開張図利罪と賭博罪もしくは常習賭博罪とは、各その構成要件を異にする別個独立の犯罪であつて、同一人が賭場を開張して利を図るとともに、その賭場における賭博に加わることも可能であり、この場合には、賭場開張図利罪が成立するほかに、常習性の有無に従い、賭博罪もしくは常習賭博罪が成立するものといわなければならない。控訴趣意第一の一の(二)についてのさきの説明によれば、被告人は、古田武雄および木村シゲと共謀のうえ、昭和三十七年八月四日午後十時頃から翌五日午前三時頃までの間前記関口光一方で賭場を開張して利を図り、同時に右賭場における賭博に参加した事実が明らかであるから原判決が右各事実中賭場開張図利の点を罪となるべき事実第三として判示してその刑責を肯定し、かつ、賭博の点を同第五の(四)として判示し、これと同第五の(一)、(二)、(三)、(五)の各賭博とを包括し、以上につき常習賭博罪の成立を認めたのは正当である。

(坂間 栗田 有路)

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